
一昔前は一色塗りが基本だったヘアカラーも、最近のトレンドでは、ベースカラーに加えて複数の色を使ってハイライトやローライトを入れたり、毛先に向かってグラデーションにしたり、内側にインナーカラーを施したりと、様々なデザインを加えることが多くなってきました。
いつもと違うヘアカラーを試してみようと思っても、美容院のメニューには知らない言葉が並んでいて戸惑うことはありませんか? もうヘアサロンで迷わないように、様々なヘアカラーの種類や手法をご紹介いたします。
ベーシックカラーとデザインカラーとは?
ヘアカラーはどのように色を塗っていくかで「ベーシックカラー」と「デザインカラー」の二つに分けることができます。また、伸びてきた根元だけを染めるものとして「リタッチカラー」という言葉も使われます。
ベーシックカラーとは?
「ベーシックカラー」とは、髪全体を単一色で染める基本のカラーリングです。頭全部を同じ色で濃淡なくベタ塗りすることから「全頭カラー」とも呼ばれます。単一色のため立体感は出しにくいのですが、薬剤や色、トリートメント等を工夫することによって、艶のある鮮やかな色の髪にすることができます。
ベーシックカラーは、比較的施術が簡単で昔からあるカラーメニューです。施術時間もデザインカラーに比べると短くなる傾向があります。
デザインカラーとは?
「デザインカラー」とは、複数の色合いや明暗を使って髪の色を「デザイン」するカラーリングです。部分的に明るさを変えて立体感を出したり、一部のセクションだけを染めてポイントを作ったりすることができます。一部を染めるものを特に「ポイントカラー」や「セクションカラー」と呼ぶこともあります。
髪色のデザインには、「ハイライト」「ローライト」「ホイルワーク」「ウィービング」「スライシング」「バレイヤージュ」「グラデーションカラー(オンブレ)」「ディップ・ダイ」など、様々な種類のカラーやテクニックが使われます。髪の内側だけを異なる色に染める「インナーカラー」も人気です。
明暗や色の差をつけるためには、一般的な「シングル(プロセス)カラー」とハイトーンも出せる「ダブル(プロセス)カラー」を使い分けることもあります。
デザインカラーは、単に色を塗るだけではないため、技術やセンスが必要とされるカラーリングです。また、デザインの内容や分量等によって施術時間が長くなることもあります。
リタッチカラーとは?
「リタッチ(Retouch)カラー」とは、カラーをしている髪が伸びてきた時に、伸びてきた根元の部分だけを染める方法です。「タッチアップ(Touch-Up)カラー」とも呼ばれます。毎回髪全体を染めていると毛先が傷む可能性が高くなりますが、全体の色を変えなくても良い場合などにリタッチを併用すれば、髪のダメージを最小限に留めることができます。
ベーシックカラーの特徴
- 頭全部を単色ベタ塗り
- 施術は比較的簡単
- リタッチも併用して髪への負担を軽減
- 全体的な白髪染めに適している
- 根元の伸びがわかりやすい
- 1〜2ヶ月毎にメンテナンスが必要
デザインカラーの特徴
- 複数の色を使ってデザイン
- 動きや立体感、艶や透明感を出す
- 全体を染めるより髪への負担が少ない
- 白髪の割合が少ない場合に活用できる
- 根元の伸びが気になりにくい(プリンになりにくい)
- 2〜3ヶ月に一回のメンテナンスでOK
シングルカラーとダブルカラーとは?
ヘアカラーは、その工程の数によって「シングルカラー(シングルプロセスカラー)」と「ダブルカラー(ダブルプロセスカラー)」に分けられます。
シングルカラーとは?
「シングルカラー」または「シングルプロセスカラー」とは、髪を「シングルプロセス」で染めるカラーリングです。「シングルプロセス(Single Process)」とは、ブリーチをせず、髪を一段階(一度塗り)の工程で染める一般的なカラーリング方法です。
髪全体を一度に染める「ワンタッチカラー(ワンメイクカラー)」だけでなく、根元と中間・毛先とを分けて塗布する「ツータッチカラー(ツーメイクカラー)」も通常このシングルプロセスに含まれます。ツータッチカラーでは、新生部と既染部を時間差で塗布したり、薬剤の色や種類を変えたりすることで、色を調節したり、ダメージや褪色を押さえたりします。
ダブルカラーとは?
「ダブルカラー」または「ダブルプロセスカラー」とは、髪を「ダブルプロセス」で染めるカラーリングです。「ダブルプロセス(Double Process)」とは、二段階のステップを踏むカラーリング方法です。最初にブリーチで髪の元の色を抜いた後に最終的に目指す色味を入れていきます。
ダブルプロセスは地毛に比べてかなり明るい色にカラーリングする時に使われる方法で、黒く赤味も含んだ日本人の髪の毛でも、外国人風の明るく透明感のある色に仕上がります。グラデーションカラーにした髪の毛先だけや、表面に入れるハイライトだけをダブルプロセスで明るくする、といった使い方もできます。
脱色が必要なダブルカラーは、普通のヘアカラーに比べて髪への負担が大きく、痛んで切れ毛や枝毛になりやすいので、トリートメント等で十分にケアする必要があります。
シングルカラーの特徴
- 一度塗りでカラーリング
- 濃いめ・暗めの色が得意
- 地毛の色によって表現できる色に限界あり
- 髪のダメージは少ない
- 比較的簡単なプロセス
ダブルカラーの特徴
- ブリーチ+カラーの二段階プロセス
- ハイトーンカラーを含め、思い通りの色を実現
- 透明感のある仕上り
- ダメージ・褪色ケアが必要
- 複雑でテクニックが必要
ハイライトとローライトとは?
デザインカラーで良く使われるのが「ハイライト」と「ローライト」です。どちらも毛流れを強調して動きや立体感を出す効果があり、サロンでも人気のカラーです。
ハイライトとは?
「ハイライト(Highlight)」とは、もともと「最も明るい部分」という意味の英語。髪のデザインカラーでは、髪のベース色より明るい色を塗って「明るくした部分(髪)」を指します。部分的に「明るくするための色」自体をハイライトと呼ぶことや「ハイライトを取り入れたカラーリング」の意味で使われることもあります。
ベースよりも明るく目立つハイライトは、全体に筋状に入れて軽さや動きを出したり、束状にくっきり入れて色の強弱をつけたりと、色々な使い方ができるカラーリングです。所々の毛束を多めに取って明るくすれば個性的に、反対に色味を押さえて細かくスジ状に入れれば自然な仕上りになります。
ブリーチありのダブルカラーで作る明るめのハイライトもお洒落ですが、暗めのベースにブリーチなしのナチュラルなハイライトを隠し味のように入れることも多くあります。地毛の色は変えずにハイライトを加えるだけでも効果は出るので、少しだけ変化が欲しい方や、カラーが初めての方にもおすすめのテクニックです。
ハイライトと同じような意味で使われる「メッシュ(Mèche)」は、もともとフランス語で「髪の房」や「髪の筋」という意味です。そこからヘアカラーで、毛髪の一部を染めることの意味で使われています。美容室によっては多めの毛束のハイライトのことをメッシュと定義しているところもあるようです。
ローライトとは?
「ローライト(Lowlight)」とは、ハイライトの反対で、髪のベース色より暗い色を塗って「暗くした部分(髪)」を指します。部分的に「暗くするための色」自体をローライトと呼ぶことや「ローライトを取り入れたカラーリング」の意味で使われることもあります。
明るくなり過ぎてしまった髪にローライトを施術するとトーンダウンして落ち着いた感じになります。カラーを長持ちさせたい方や、少しグレーを残した白髪染めにしたい男性にもローライトが効果的です。前髪や顔にかかる両サイドの髪、襟足などを暗めのカラーにすれば、顔をシャープに見せて小顔効果を狙うこともできます。
ハイライトあるいはローライトだけでも3D効果は得られますが、両方を使って、明るい色、暗い色、中間色、の三色のレイヤーを組み合わせると、より立体的で透明感のある艶髪となり、色にも深みが出てきます。褪色しやすい表面にはローライトを、内側にはハイライトを入れることもあります。
ハイライトの特徴
- ベースよりも明るい色
- 軽さや動き、立体感を出す
- 艶感、透明感をアップ
- 全体を自然にトーンアップ
- ポイントを強調
ローライトの特徴
- ベースよりも暗い色
- 影を作ることによる引き締め効果
- 深みや奥行きをプラス
- 明るくなり過ぎた髪をトーンダウン
- 伸びた根元が目立ちにくい
ホイルワークとバレイヤージュとは?
ハイライトやローライトを入れるテクニックには、アルミホイル等を使ってパネルごとに色を塗っていく「ホイルワーク(ホイリング)」と呼ばれる手法と、アルミホイル等を使わずにブラシで自由に塗っていく「バレイヤージュ(バリヤージュ)」という手法があります。
ホイルワーク(ホイリング)とは?
「ホイルワーク」または「ホイリング(Foiling)」とは、カラー剤を塗った髪をパネルごとにアルミホイルやフィルムで分離して染めるテクニックです。ホイルに包んで放置することで明るめの色も表現でき、根元から毛先まで均等に色が染めることができます。
ホイルワークで髪を染める中で、コームを使って染める部分を選り分ける際には「ウィービング」や「スライシング」という技法が使われます。
- 「ウィービング(Weaving)」とは、薄くパネル状に取った毛束から、櫛の先で髪の毛を細く一定間隔に互い違いにすくって、その部分だけにカラー剤を塗布するテクニックです。「織機で布を織る」という英語の語源がコームの動きを表しています。縦に入った細い筋状の繊細なカラーリングが、毛の流れや動きを強調し、自然な立体感を出す効果があります。ほんのりと柔らかい質感となるので、カラーに抵抗がある方にも取り入れやすい手法です。
- 「スライシング(Slicing)」とは、薄く取った(スライスした)パネル全面にカラー剤を塗布するテクニックです。カラーが細かい筋ではなく、より広い面や強い線として表れるため、それ自体がデザインのアクセントとなります。強調させたい部分や、締まって見せたい部分に使われることの多い手法です。スライスの厚さや角度によって見え方に大きな差が出るため、頭のどの部分にどうやってどの程度入れるかがポイントとなります。
バレイヤージュとは?
「バレイヤージュ(Balayage)」とは、フランス語で「ほうきやブラシで掃く」という意味で、アルミホイル等を使わず、絵画を描くように必要なところに必要なだけ色を足していくヘアカラーのテクニックです。ヘア・ペインティング(Hair Painting)とも呼ばれます。
バレイヤージュで作ったハイライトは非常に自然な仕上りで、髪の毛が伸びてきても根元の部分が目立ちにくいのが特徴です。大きなハイライトも細かいハイライトも、全てフリーハンドで施術していくので、スタイリストのセンスとテクニックが重要となります。
バレイヤージュは1970年代にパリで生まれた技術ですが、従来型のホイル技術が主流の時代を経て、ここ数年の流行となってきています。ホイルワークとバレイヤージュはどちらかが優れているという訳ではなく、なりたいスタイルによって使い分けたり、場合によっては両方を使って、くっきりしたハイライトと自然なハイライトをミックスしたりします。
ホイルワークの特徴
- ホイルとコーム技術を駆使した技法
- 理論的、技術重視
- 均等で正確な仕上り
- 明るい色も表現できる
- くっきりした線や細い筋を表現できる
- 均一に色が付くので根元の境目がわかりやすい
- 1〜2ヶ月でリタッチが必要
バレイヤージュの特徴
- フリーハンドで絵画を描くような技法
- 感覚的、芸術的
- 自然で立体的な仕上り
- ナチュラルな色が得意
- カラーリストのセンスと技術が必要
- 柔軟性が高くグラデーションにもしやすい
- リタッチまでの期間が長くてもOK(2ヶ月〜)
オンブレ(グラデーションカラー)とディップ・ダイとは?
ここ数年、特にトレンドとなっているのは「オンブレ」と呼ばれるグラデーションカラーや「ディップ・ダイ」と呼ばれる毛先だけを染めるカラーです。この二つは似ていて混同されることも多いのですが、厳密に言うと以下のような違いがあります。
オンブレとは?
「オンブレ(Ombré)」とは、もともとフランス語で「陰影/明暗/濃淡」といった意味で、ファッション業界でもOmbré Dyeing(ぼかし染め)などとして良く使われる言葉です。ヘアカラーでは、主に暗めの根元から明るめの毛先に向かって少しずつ色が変わっていくカラーデザインを指します。日本では単に「グラデーションカラー」とも呼ばれることも多いカラーリングです。
ディップ・ダイとは?
「ディップ・ダイ(Dip Dye)」とは、英語で「染料液に浸して色付けする」という意味で、毛先をヘアカラー剤に浸したように染めるカラーリングです。オンブレカラーに比べて、カラーリングをした部分とそれ以外との境目がより直線的ではっきりしているのが特徴です。また、ショッキングピンクやエメラルドグリーン、ブライトオレンジなど、鮮やかな色が多く使われます。
オンブレの特徴
- 根元、中間、毛先と徐々に色が変化
- グラデーションで境目は目立ちにくい
- 自然な色が使われることが多い
- ナチュラルな仕上り
ディップ・ダイの特徴
- 毛先だけに色をつけるカラー
- 境目は直線的ではっきり
- 明るく目立つ色が使われることが多い
- 個性的な仕上り
KANO GROUPのデザインカラー
カラーの種類やテクニック等は、サロンやスタイリストによって用語の定義が違うことも多いのが現状です。また、目指す同じスタイルでも、髪質や髪の色、その時の髪の状態によって、どの技術や方法がベストかが変わることもあります。そのため、スタイリストと出来上がりのイメージを十分に相談してから施術をしてもらうのが失敗しないためのポイントです。
KANOW GROUPでは、経験豊富なスタイリスト集団が、丁寧なカウンセリングと豊富なカラーメニューでご希望のスタイルを実現します。また、施術時にはできるだけダメージを減らすように、デザイン、薬剤、塗り方などを最大限工夫し、必要に応じてトリートメントやご自宅でのケアについてもご提案いたします。
自然な形で変化をつけたい方も、いつもの色に飽きてしまった方も、大胆に他の人と差をつけたい方も、ぜひお気軽にご相談ください。